ヒルビリー エレジー。 ヒルビリー・エレジー

日本人がまったく知らないアメリカの「負け犬白人」たち(川崎 大助)

ヒルビリー エレジー

大学を卒業せずに、 労働者階層の一員として働く白人アメリカ人は、 「ヒルビリー(田舎者)」、 「レッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)」、 「ホワイト・トラッシュ(白いゴミ)」と呼ばれています。 彼らと同じ境遇に育った著者が、多くの同じ境遇の人たちには実現できない、 ごく普通の生活を送るようになった軌跡を描いた本があります。 本日紹介するのは、 「ラスト・ベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる地域の オハイオ州ミドルタウンおよび、 ケンタッキー州ジャクソンで育ち、現在は シリコンバレーで 投資会社の社長を務める、 J. ヴァンスさんが書いた、こちらの書籍です。 ヴァンス『ヒルビリーエレジー ~ アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(光文社) この本は、鉄鋼業の町で貧しい子供時代を送り、将来に望みのない子どものひとりとして高校では落第しかけ、住んでいた町では誰もが抱く、怒りやいらだちに屈しかけた著者が、 いまの職業に就いた人生の物語を記したものです。 本書は以下の 15部構成から成っています。 1.アパラチア-貧困という故郷 2.中流に移住したヒルビリーたち 3.追いかけてくる貧困、壊れはじめた家族 4.スラム化する郊外 5.家族の中の、果てのない諍い 6.次々と変わる父親たち 7.支えてくれた祖父の死 8.狼に育てられる子どもたち 9.私を変えた祖母との3年間 10.海兵隊での日々 11.白人労働者がオバマを嫌う理由 12.イェール大学ロースクールの変わり種 13.裕福な人々は何を持っているのか? 14.自分のなかの怪物との闘い 15.何がヒルビリーを救うのか? この本は、 著者の人生の偽りのない物語で、 次のようなこ事実や実態を読者に知ってほしくて書かれました。 「白人労働者の先行きは暗くなる一方だ。 だが、きみは卵よりもニワトリが先に生まれると考えているのではないか。 彼らのなかで離婚する者が増え、結婚する者が減り、彼らが幸福を感じられなくなっているのは、経済的機会がないからだ。 仕事に就くチャンスがありさえすれば、生活状態も改善されるはずだ。 」 そしてこれは、 少子高齢化や 非正規雇用の増加による貧困や格差拡大が進む 現代の日本でも、 全く同じように見られる現象です。 この本が、 2016年のアメリカ大統領選挙で、 トランプが予想を覆して勝利する前の予備選挙の頃から、静かに読み始められ、 無名作家としては 空前のベストセラーとなるほど、注目された理由は何でしょうか。 それこそが、これまで忘れ去られ、 アメリカの繁栄から取り残されてきたヒルビリー(白人労働者階層)の思いや現実が赤裸々に記されていたからです。 そして、彼ら 白人労働者階層こそが、今まで一度も選挙に行ったことがなかったにも関わらず、今回の大統領選では トランプ候補の熱烈な支持者として、 多くの票ををもたらし、番狂わせの大統領へと、トランプ候補を導いた原動力になったためです。 本書には、 ヒリビリーがなぜ、オバマ大統領を嫌っていたかという 興味深い分析も書かれています。 マイノリティーとして、つねに 差別の対象として注目されてきた ヒスパニック系移民、 ラテン系移民、 黒人層は、差別解消の名目のもとに、 政治的・制度的に優遇されてきました。 しかるに、 白人労働者層は、同じように貧しいにも関わらず、 「白人」というだけで逆に一切の優遇措置は無く、「ホワイト・トラッシュ」などと揶揄され、貧困が次世代に引き継がれ、他の差別民族よりも将来の人生に悲観的になっている、と著者は指摘しています。 アメリカ大統領選で トランプ候補が訴えた 「悪いのは君たちではない。 イスラム教徒、移民、黒人、不正なシステムを作ったプロの政治家やメディアが悪い。 」というメッセージは、 ヒルビリー(白人労働者階層)が普段から家族や仲間うちで語っていたことと一致していて、 ロックコンサートのような雰囲気で運営された集会で、 熱狂的な支持を受けました。 常識と考えられていたことや、多くの予想に反して、 劇的な変化を起こしてしまう アメリカのダイナミズムを、 トランプ大統領の誕生を見て、改めて痛感していましたが、この本を読むと、 その謎がきれいに解けていきます。 まさに本書のタイトル 「ヒルビリー・エナジー(=田舎者の白人労働者階層の哀歌)」は、 アメリカの変化の歴史を象徴的に記録する書として、 長く人々の記憶に刻まれるのではないかと思います。 あなたもこの本を読んで、 トランプ大統領誕生の原動力となった、 アメリカ白人労働者階層の現実と思いに目を向けてみませんか。 速読法・多読法が身につくレポート 『年間300冊読むビジネス力アップ読書法「17の秘訣」』 を 無料で差し上げます。 ご請求はこちらを クリックしてください! では、今日もハッピーな1日を 速読・多読ができる読書術.

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『ヒルビリー・エレジー』1

ヒルビリー エレジー

この本にも書いてありますが、貧乏になる理由は「生活習慣が崩れる」か「人間関係が崩れる」時です。 それを考えると、ブラック企業や過労が如何に貧乏に直結するかが分かりますね。 たとえ給与が高く設定されていても、あれは本当に割に合いません。 前職は東証一部上場企業ですが、転職の時に職務経歴が評価された実感はあまりないです。 過重労働が報われるのはコンサルティングや金融なんかの本当に一部だけでしょう。 無職になって何よりありがたいのは利害関係のない友人です。 日頃から他人の存在はきちんと肯定しておきましょう。 無職になると解ります。 他人を笑う時に使った指は、ブーメランで戻ってくる。 アレ、結構痛いですよ。 ヒルビリーってどんな人? スコッツ=アイリッシュ(アイルランド系の移民のこと 筆者注)の家系に属し、大学を卒業せずに労働者階級の一員として働く白人アメリカ人。 そうした人たちにとって貧困とは代々伝わる伝統と言える。 「ヒルビリーエレジー」p8より抜粋 ここでの論点は特定の人種についての話ではありません。 何も考えずにいると、彼らの生活様式に似てきてしまうことが問題だということです。 健康への配慮が無くなり、協力というスキルが身に付かない。 学習性無力感が蔓延した変化の出来ない人間になりがちだということです。 職場からのストレスがそう言った構造を生んでいます。 一度職を失った私からすると本書で描かれるヒルビリーの様子は、「アメリカの話」と笑える内容ではありませんでした。 とても無関係とは思えない。 前職は自分の発達障害という条件もさることながら、職場の雰囲気の悪さが致命傷でした。 いつどこで災難が降りかかるか分かりません。 しかも、それは本当に自分にはどうしようもない理由で起こるかもしれないわけです。 社会のレールから外れた人に、驚くほど日本は冷たい。 自分だけは大丈夫という考え方は危険です。 外れたときに何よりも支えになるのは「利害関係のない友人」 もし職が無くなっても付き合える友人が居たら、ゼッタイ大切にした方が良いです。 気の置けない友人こそ大切に 特に学生時代からの友人は本当に大切にしましょう。 ただし前に進むことを忘れずに。 「今無職なんだよねー、参ったわ」 「まあそんな時もあるわな」なんて会話ができるのはこういった状況では命綱です。 本書の中でも随所に家族や友人との助けあいの場面が出てきます。 しかし、ここで注意して欲しいのは「前に進む」ことを忘れないこと。 「ヒルビリー」が貧困から抜け出せない理由もここにあります。 他人に依存するばかりで、自力で解決する姿勢が少ない。 友人を頼れるのはある意味で非常に楽です。 ですが、頼ることに慣れきってしまうと問題は解決しません。 面接会場で情緒が安定してこそ、友人関係は真価を発揮すると考えてください。 就労支援施設に行っていた時に何より感じたのは、「面接で自信のあることを言わないこと」の重要さです。 面接でアピールすることは重要ですが、「話題になった活動以外」でどれほど充実しているかどうかが大きな差になります。 転職活動中は誰だって不安定です。 そんな一生の選択の場面でもどっしり構えていられるのは基盤の人間関係があってこそ。 基盤をしっかり活かしましょう。 そのために「他人の存在価値」を無条件に認めましょう。 「死ぬな」の一言を他人に言えることは自分を救います。 お互い死ぬなよと言える友人関係を持ちましょう。 生活習慣は全部スキルです。 ヒルビリーエレジーの筆者は「海兵隊」に入隊して、まさに「生活習慣」の基礎を学びます。 海兵隊では、入隊した人間は全く何も知らないと想定している。 健康や衛生意識、金銭管理と言ったことについても、全く誰からも教わったことが無いと想定されているのだ。 (中略) 海兵隊では、上司はきちんと仕事をしているかをチェックするだけでなく、部屋をきれいにしているか、髪を短くしているか、制服にアイロンをかけているか、いちいちすべてを確認する。 (中略) 海兵隊ではこういった決定をするときにも戦略的に考えることを求められ、そのためにはどうすれば良いのかをたたきこまれた。 ヒルビリーエレジーp274~275より引用 この生活習慣を基盤にして筆者は大学や一流ロースクールへの入学を成し遂げます。 重要なことはこれらはスキルということです。 理解や暗記ではなく、「体得」しているかどうかが如実に出る。 発達障害向けの就労支援施設であるリタリコワークスで、こう言った話をよく聞きました。 「うちに通っている人は採用率が全く違う。 朝起きて、職場に行き、仕事をして、夜眠る。 これだけで何千万円もの価値がある。 」 この話は核心をついています。 しかもこれらは、些細なきっかけで失われやすい。 これらを維持管理するのも一つのスキルです。 リタリコワークスは実は私達が負担する利用料はかなりお安い。 何故なら国が大部分を負担しているから。 それこそ年間数百万単位で社会に適合する人間を作っているわけですね。 ぶっちゃけ仕事が出来る人間に必要な生活習慣は、どこの国もそう変わりません。 一度身に付けてしまえば何処でも通用します。 これは本当に大きい価値。 今が健康でもいつ失われるか分かりません。 日頃から生活習慣に気を使うことは数千万円に匹敵する投資です。 本日のまとめ 今回の参考図書は 「ヒルビリーエレジーアメリカの繁栄から取り残された白人たち J D ヴァンス著 2017」です。 人が貧乏になる理由は以下の2つ。 1 生活習慣が崩れたとき 2 人間関係が崩れたとき 両方些細なきっかけでなくなります。 日頃から維持管理には気を使いましょう。 他人の存在価値は無条件で肯定しましょう。 それがあなた自身を救います。 ようやく希望が見えてきました。 協力してくれた方々、読んでくれた読者の方、本当にありがとうございました。

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「日本のヒルビリー」だった私|高井浩章|note

ヒルビリー エレジー

図書館に予約していた『ヒルビリー・エレジー』という本を、待つこと半年でゲットしたのです。 トランプ大統領を誕生させたラストベルトのヒルビリーたちは、如何なる人たちなのか…わりとホットなドキュメンタリーなんだろう。 【ヒルビリー・エレジー】 J・D・ヴァンス著、光文社、2017年刊 <BOOK」データベース>より ニューヨーク生まれの富豪で、貧困や労働者階級と接点がないトランプが、大統領選で庶民の心を掴んだのを不思議に思う人もいる。 だが、彼は、プロの市場調査より、自分の直感を信じるマーケティングの天才だ。 長年にわたるテレビ出演や美人コンテスト運営で、大衆心理のデータを蓄積し、選挙前から活発にやってきたツイッターや予備選のラリーの反応から、「繁栄に取り残された白人労働者の不満と怒り」、そして「政治家への不信感」の大きさを嗅ぎつけたのだ。 トランプ支持者の実態、アメリカ分断の深層。 <読む前の大使寸評> トランプ大統領を誕生させたラストベルトのヒルビリーたちは、如何なる人たちなのか…わりとホットなドキュメンタリーなんだろう。 p8~11 <はじめに> 私は白人にはちがいないが、自分がアメリカ北東部のいわゆる「WASP ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)」に属する人間だと思ったことはない。 そのかわりに、「スコッツ=アイリッシュ」の家系に属し、大学を卒業せずに労働者階層の一員として働く白人アメリカ人のひとりだと見なしている。 そうした人たちにとって、貧困は、代々伝わる伝統といえる。 先祖は南部の奴隷経済時代に日雇い労働者として働き、その後はシェアクロッパー(物納小作人)、続いて炭鉱労働者になった。 近年では、機械工や工場労働者として生計を立てている。 アメリカ社会では、彼らは「ヒルビリー(田舎者)」「レッドネック(首筋が赤く日焼けした白人労働者)」「ホワイト・トラッシュ(白いゴミ)」と呼ばれている。 だが私にとって、彼らは隣人であり、友人であり、家族である。 アメリカ社会において「スコッツ=アイリッシュ」は特徴的な民族集団のひとつだ。 「アメリカを旅すると、スコッツ=アイリッシュが揺るぎない地域文化を一貫して維持していることに驚かされる」と、ある著述家が書き記している。 「ほかのほとんどの民族集団が、その伝統を完全に放棄してしまったのに対して、スコッツ=アイリッシュは、家族構成から、宗教、政治、社会生活に至るまで、昔のままの姿を保っている」 文化的伝統をこのうえなく大切にする姿勢には、家族や地域に対する深い情愛や、いちずな献身という好ましい側面がともなう一方で、多くの好ましくない面もある。 私たちスコッツ=アイリッシュは、外見にしても、行動様式にしても、話し方にしても、とにかく文化的背景が異なる人やよそ者を好まない。 これから述べる私の人生を理解するには、私が自分自身を「スコッツ=アイリッシュのヒルビリーだ」と心の底から思っていることを、知っておいてもらう必要がある。 民族意識がコインの片面だとすると、もう片面は地理的環境だ。 18世紀に移民として新世界にやってきたスコッツ=アイリッシュは、アパラチア山脈に強く心を惹かれた。 アパラチアは、南はアラバマ州やジョージア州から、北はオハイオ州やニューヨーク州の一部にかけての広大な地域だが、グレーター・アパラチア(大アパラチア)の文化は、驚くほど渾然一体としている。 ケンタッキー州東部の丘陵地帯出身の私の家族は、みずからを「ヒルビリー」と呼んでいる。 カントリー歌手のハンク・ウィリアムズ・ジュニアも、田舎の白人を賛美する「ア・カントリー・ボーイ・キャン・サバイブ」という曲で、自分はヒルビリーだと歌っている。 グレーター・アパラチアが民主党の地盤から共和党の地盤へと変わったことが、ニクソン以降のアメリカ政治の方向を決めることになった。 そして、白人労働者階層の将来がどこよりも見えにくいのもまた、グレーター・アパラチアなのである。 社会階層間を移動する人が少ないことに加え、はびこる貧困や離婚や薬物依存症など、私の故郷はまさに苦難のただなかにある。 したがって、私たちが悲観的になるのも当然といえる。 驚嘆すべきは、さまざまな世論調査の結果、アメリカで最も厭世的傾向にある社会集団は白人労働者階層だという点である。 大半が想像を絶する貧困に苦しんでいるラテン系の移住者と比べても、また、物質的な面での成功の見通しという点で白人に後れをとり続けている黒人と比べても、白人労働者階層は悲観的なのだ。 現実というのはつねに、ある程度の皮肉を許容するものだが、私のようなヒルビリーが、ほかの社会集団よりも人生を悲観しているという事実は、何か別の事態が進行していることを示している。 そして、実際そうなのだ。 私たちヒルビリーは、かつてないほど社会的に孤立していて、その状態を次の世代に引き継ごうとしている。 私たちが信じていることも変わりつつある、ヒルビリーの信念は教会を中心に形づくられるが、そこでは感情に訴える言葉が重視され、子どもたちが成功するために必用な、社会的サポートを軽んじる姿勢が見られる。 私たちの多くは、労働力という面から見ると落伍者であり、よりよい機会を求めて新天地を切り拓くのを諦めてしまっている。 ヒルビリーの男たちは「男らしさの危機」に直面し、その男らしさを重視する文化こそが、変わりゆく社会でヒルビリーの成功を妨げている。 カントリー&ウェスタンのファンだった大使は、早くからヒルビリーという言葉を知っていたのだがヒルビリーの実態について知らなかったわけです。 つまりは、この本のようなレポートに触れることがなかったからでしょうね。 著者のバンス氏がインタビューでを語っています。

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