宮本から君へ 感想 漫画。 映画「宮本から君へ」はバカしか出てこない!感想とネタバレ

宮本から君へ : 作品情報

宮本から君へ 感想 漫画

佐藤秀峰が好きな漫画を紹介するコーナー8回目。 今回ご紹介するのは新井英樹さん著「宮本から君へ」です。 この作品、超大好きです。 僕が「漫画家として影響を受けた作品をひとつだけあげろ」と言われたら、迷いなくこの「宮本から君へ」をあげます。 Wikiによる作品の解説は下記の通り。 「大学を卒業して都内の文具メーカー・マルキタの営業マンになった宮本浩は、未熟で、営業スマイルひとつ出来ず、自分が社会で生きていく意味を思い悩んでいる。 山手線の渋谷駅で毎朝見かける美しい女性に恋をした宮本は、その女性がトヨサン自動車の受付嬢である甲田美沙子であることを突き止めアタックし、いったんは成功するもののすぐにその恋は破れてしまう。 失恋の痛手を忘れようと、仕事に打ち込もうとするが、ライバル営業マン・益戸の嫌がらせを受けて大口の仕事を奪われてしまう。 マルキタを辞めて独立した先輩・神保の知人である中野靖子と恋に落ち、靖子と腐れ縁にある風間裕二に向かって「この女は俺が守る」と宣言した宮本は、靖子と結ばれてやっと幸福な時間を手に入れることが出来るが、取引先の部長の息子で大学ラグビーの花形選手・真淵拓馬に靖子をレイプされてしまう。 その時、泥酔して寝ていた宮本は、すぐそばで靖子がレイプされていたのに気付かず、靖子に絶縁される。 怒った宮本は、力の差が歴然としている拓馬に復讐を誓うのだった。 」 バブル崩壊直前の浮かれた時代に唾を吐きかけたようなこの作品は、当時、どれ程の衝撃を世間に与えたことでしょうか。 …と発行部数などを聞くと一般ウケはあまりしなかったようですが、漫画家、クリエイターへ与えた衝撃は凄まじかったのではないかと想像します。 業界内のファンも多い作品で、花澤健吾さんの「ボーイズ・オン・ザ・ラン」など「『宮本から君へ』のオマージュだよな」と感じる作品はいくつか頭に浮かびます。 トレンディドラマ全盛のオシャレでキラキラした物が良しとされた時代のクリエイター達にとっては、「お前らそんなことがやりたくて物創りになったのか?」と振り向きざまに顔面にウンコを塗りたくられたようなインパクトがあったのではないでしょうか。 とにかく描写のひとつひとつが暑苦しく、泥臭く、好き嫌いを超越した迫力がありました。 主人公がオシャレ男性誌で嫌いな男性アンケートの1位に選ばれたこともあるそうで、売れた売れないは置いといて、多くの人の印象に残った作品であることは間違いないようです。 僕自身が作品に初めて触れたのは、連載終了から数年がたってからでした。 漫画家を目指して出版社へ原稿の持ち込みを始めて数年目、編集者とのやり取りの中で「売れるように漫画を描け」「読者を楽しませる漫画を描け」と言われ続け、「面白いって何だろう?」「漫画は誰のために描けばいいのだろう?」と思い悩んでいる時、この作品に出会いました。 確か23歳くらいだったかな?当時、僕は悩み過ぎて漫画を読むことを一切やめており、所有していた本を全て売り払い、テレビも捨て、映画も音楽も観ない、聴かないという日々を送っていました。 他の創作物の影響を受けることを良しとせず、自分の経験や思考に頼って作品を生み出そうともがいていました。 その日も編集者との打ち合わせの後、敗北感に包まれながら高円寺の街を歩いていました。 古本屋に立ち寄り、本棚に並んだ漫画の単行本の背表紙を眺めながら、「これだけ世の中に漫画が溢れているのに、なぜ僕の漫画はこの棚にすら並ばないのだろう?なぜ僕の漫画は誰にも必要とされないんだろう?」と考えていました。 理由を知りたくて、何か買ってみようと思いました。 ふと「宮本から君へ」の単行本が目に留まり手に取ると、そのままレジへ足を運び、僕は何年かぶりに漫画の単行本を買ったのでした。 久しぶりに読んだ漫画はそれだけで刺激的でした。 作品はエンターテイメントの枯渇していた僕の神経の末端までスゴイ勢いで浸透してきました。 「宮本から君へ」の1巻の絵は正直言って稚拙です。 まだ素人臭さの残る新人漫画家の絵ではありましたが、その素朴さと実直さにすぐに作品の虜になりました。 読み終わるとまた古本屋に出かけ、店頭にあった5巻までを買い求めました。 5巻まで読むと6巻目を探しましたがどこにも売っていません。 新刊はすでに書店になく、高円寺中の古本屋をめぐりましたがどこにもありません。 隣の中野駅に出かけ、中野ブロードウェイの「まんだらけ」で全巻セットが売っているのを発見しました。 店員さんにバラ売りはしてもらえないのか訊きましたが、あまり売れる本ではないらしく、「バラで買われると残りがさらに売れない可能性が高くなるので全巻セットでしか売りたくない」と言われ、仕方がないので全巻セットで買いました。 「(作家に利益にならない)古本屋で本を買うヤツは読者じゃない」と公言する漫画家もいます。 その弁に立つと僕は「宮本から君へ」の読者ではないのかもしれません。 読者じゃない僕は、何度も何度も繰り返し作品を読み、夢にまで宮本が出てきました。 夢の中で宮本は「お前のやりたいことは何だ?」「お前は売れればいいだけの漫画が描きたいのか?」と迫ってきます。 「宮本から君へ」の「君」は僕のことだと思いました。 「この漫画は僕のために描かれたんだ」と感じました。 生きている人間以上にキャラクターが僕に何かを訴えかけてきて、彼の言動の一言一言にうなずいたり、驚いたり、励まされたり、影響されました。 確か11巻です。 マンションの外階段で主人公と敵がケンカをするシーンで、主人公に絶望的な状況が続いた後で反撃のチャンスが訪れ、僕はのめり込んでそれを読んでいました。 そんなシーンでふとページをめくると、見開きで朝日に照らされたロングの風景をバックに主人公が階段の踊り場から身を乗り出して空を飛んでいるように見える絵があったんです。 一見ストーリーとは関係のない絵を、なぜあのタイミングで見開きで入れようと思ったのかは分かりませんが、それくらい予想もつかないタイミングで予想もつかない絵が突然目の前に大きく現れ、ものすごい衝撃を受けました。 思わず「あ!」と声が出てしまって、直後に「漫画に声を出させられた」と思いました。 本当に自分の体が宙に浮いたような錯覚に囚われ、今まで漫画で感じたことのない身体感覚を伴った浮遊感を覚えました。 その後は心臓のドキドキが止まらなくて、ページをめくる手が止まりませんでした。 こんな漫画は本当に読んだことがありませんでした。 もしかしたら、あの時代のあの時期、あのタイミングで読んだからこそ感じられた衝撃かも知れません。 漫画がこれ程に読者の気持ちを揺さぶることが出来るという事実に驚き、自分もこんな漫画を描きたいと思いました。 何周目かを読み終わって、僕は「こんなに面白い漫画がなぜ売れないのだろう?」と疑問に感じました。 こちらは僕のデビュー作の「おめでとォ!」です。 読んでいただければ分かりますが、「宮本から君へ」の影響を強く受けています(初期短編集が各電子書籍ストアで販売中です)。 掲載されたヤングサンデーでは折しも新井英樹さんが「ワールドイズマイン」を連載されており、僕の前の職場で先輩だった方が作画スタッフとして新井さんの仕事を手伝っていました。 その先輩によると、僕の作品を見た新井さんが「これ、オレのっぽくない?」とおっしゃっていたそうで、先輩が言葉を盛ったのだとしても、新井さんに認識されたということが嬉しかったです。 実は僕は作家としては漫画マニアの間では常に新井英樹さんと比較されてきました。 「新井英樹のパクリ作家」と呼ばれたり、中には「宮本から君へ」の作者と僕と勘違いしている方もいました。 僕自身、「宮本から君へ」に出会わなかったら漫画家にはなれなかっただろうと思っているので、それはそれで光栄なことではあるのですが、その影響下から逃れたい気持ちと闘ってきました。 幼少の頃から何人もの作家さんの影響を受けて今の僕があると思いますが、新井さんは僕にとってあまりも重要な作家なのです。 と言いつつ、実は新井さんのその他の作品はあまり好きではありません。 「愛しのアイリーン」は物語の構成に凝り過ぎていて、難解で作家が前に出過ぎでしたし、「ワールドイズマイン」は作家が世間にウンコを投げつけることに慣れ過ぎてしまっていて、投げつける対象である「世間」から相手にされていないように感じました。 その後の「キーチ!」や、今は何か連載されているのでしょうか…、徐々に作家の自己満足が強くなっていき読まなくなりました。 漫画マニアから見ると「佐藤秀峰は新井英樹の粗悪なコピー」くらいなのかもしれませんが、僕は新井さんの「わざと売れるように描かない姿勢」は、商業作家として良くないと思っていて、それをお金に変える方法を探って来たようにも思います。 「売りたくないなら売るなよ。 家でやれよ」と言うか。 僕は100万部作家を目指そうと頑張ってきたのですが、実際に100万部売れてみて、新井さんのようにコアな作家にはなれなかったという思いと、影響下から逃れられなかったという思いと、売ることしか考えていない軽薄な偽物作家に過ぎないという思いに捕われています。 最近はちょうどいい具合に単行本が売れなくなってきて、偽物具合も板についてきました。 ではでは。

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【全話あらすじ】ドラマ『宮本から君へ』見どころ|感想紹介

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fashion-press. 彼は、甲田がトヨケン自動車で受付嬢をしている事を突き止める。 しかし、駅のホームで甲田を見かけても声をかける事すらできないのだった。 意中の女性に声をかける勇気のない宮本。 彼は、同僚の田島の後押しもあり、ついに甲田に声をかける事に成功するのだった。 ホッとした気持ちになる宮本だったが、甲田との関係は長続きしない。 宮本は初の失恋を経験する。 しかし、一目惚れした女性に声をかけるという行動が宮本の大きな成功体験となり、大きな転機へと変わっていく。 俳優として力を入れ始めてきてからは、躍進的に出演数を増やしつつも、主要な役を演じられてきていますよね。 ちなみに井浦新さん、2019年には主演映画『嵐電』にもご出演されていますね。 そちらについては、以下で紹介してますので、よければチェックしてみてください。 ピエール瀧さんの出演シーンもそのまま使われているようですね。 nobodymag. php ここでは、映画『宮本から君へ』の監督、真利子哲也さんについてご紹介してまいります。 1981年東京生まれの監督さんで、大学在学中に『極東のマンション』、『マリコ三十騎』という映画が「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」でグランプリを獲得されていますね。 また、2009年から『イエローキッド』が毎日映画コンクール新人賞や高崎映画祭、日本映画プロフェッショナル大賞監督賞なども受賞している若手鬼才の監督です。 2016年に公開された映画『ディストラクション・ベイビーズ』も柳楽優弥さん、菅田将暉さん、小松菜奈さんなどを起用して制作されています。 この時の作品に、池松さんも参加されています。 スポンサーリンク 映画『宮本から君へ』の原作漫画と原作者・新井英樹先生について紹介 映画『宮本から君へ』のみどころ• とにかくエネルギッシュに活動をする宮本• それに受けて立つかのように周りも同調していくシーン• 演技派揃いの俳優キャスト陣の個性的なキャラクター いや〜、これはエンタメとしても素晴らしいですが、俳優・キャスト陣の演技と演技のぶつかり合いがまさに観れる作品ですね。 こういう作品って、他にあまり見ることもないかもしれないですから、貴重な映画になりそうですね。 公開は、2019年9月27日ですね。 今回は、「 映画『宮本から君へ』のあらすじ結末ネタバレ!キャストや原作漫画、監督など徹底解説!」と題してご紹介してまいりました。 それでは、今回はこの辺で。 関連記事:.

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映画「宮本から君へ」はバカしか出てこない!感想とネタバレ

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皆様、いつもこんな馬鹿なレビューを読んで頂きありがとうございます。 さてまた全然関係ない話しから始めます。 私だけではないでしょうが在宅の時間が大幅に増えた今日この頃で御座います。 TVを付けると大抵新型コロナウイルスのニュースです。 洋画だったら吹き替えがあるやつ。 さて映画を観ながらは私は必ずお酒を飲みます。 寝落ちしてもOK.。 緊張感はゼロ。 一人飲みなのに翌日は二日酔い。 馬鹿だね〜 お銚子が空になると覗いて、お姉さんもう一本つけて。 もうこの先は読まないでも良いですよ。 大したことないですからね。 文具メーカーで働く宮本 池松壮亮 は先輩の仕事仲間の中野靖子と恋に落ちます。 しかし靖子は元彼の風間 井浦新 にストーカー行為を受けていたのでした。 なんとか風間は撃退したのですが、ある夜衝撃のある事件が起こります。 先輩 ピエール瀧 の息子拓馬が信じられない行動に出たのです。 その時、宮本の馬鹿は寝ていやがる。 大体てめえは飲み過ぎなんだよ。 いい加減にしろ! すいません。 腹が立って言葉が汚くなりました。 まず警察だろ。 フツーは。 との考えは飲み込みます。 フィクションだしね。 かくして宮本は怨敵、拓馬にタイマンを挑みます。 いやいや体格差があり過ぎだよ。 舞の海と曙の取り組みでしょうか?当時の体重差、実に101キロです。 ボクシングや柔道と違って大相撲はどんなに体重差があっても関係ありません。 しかし!しかしです。 なんと舞の海は曙に勝った事があります。 そりゃそうだ。 警察に・・・いやもっと正々堂々と卑劣になれ!例えば背後からバットで殴るとか、石を投げるとか、お金に困ってそうな貴闘力に頼むとか・・・ かくして宮本は惨敗です。 前歯も3本折られました。 しかし宮本は漢 おとこ だった。 それでも憎っくき拓馬に闘いを挑みます。 そして・・・ 拓馬役の一ノ瀬ワタルは元格闘家の上、体重を33キロ増やしました。 役作りとは言え凄いですね。 稀に見る憎まれ役。 嫌われ役。 いやはや役者だね。 役者だけど。 好き嫌いが分かれる映画でしょう。 でも熱量は有ります。 エンディングに宮本浩次の歌が流れます。 Do you remember? きみが好きな歌を まちを 空を そして 明日をいま 俺が全て引き受けよう 私の胸に刺さりました。 原作もテレビドラマも未見です。 まあ、好きな人と嫌いな人と両極に分かれるタイプの作品であると思います。 昔なら、ヤクザ映画やチンピラ、不良映画によくあるストーリーの様な感じでしたが、サラリーマンの設定というのが異色ですね。 この作品『ディストラクション・ベイビーズ』の監督だと知り、然もありなんという感じです。 自分がプロレスラーや相撲取りやヤクザなどと、もし闘わなければならない状況になった場合どのように相対するか?という想定で、男なら一度や二度は妄想したことや悪夢として夢見たことがあるように思うのですが、この監督もこの妄想癖がかなり強いタイプの様に感じられました。 私はこの物語の登場人物全員が基本的に苦手なんですが、唯一、この監督のネチネチとした弱者の強がり的なこだわりに対しては自分の中にも少し感じられて、突き放して見ることが出来ませんでした。 ネタバレ! クリックして本文を読む ・営業マンの宮本が仕事で悩んだりする話なのかなぁって思ってたらそういうシーンはほぼなくて、恋人の靖子との話で驚いたのと、宮本と靖子らキャラクターが感情が凄まじくてとても面白かった。 ・宮本が物静かそうな雰囲気だったかと思えば、手のつけられなくなるほど感情的になりとんでもねぇ奴だなと惹きつけられた。 靖子は物静かなのかと思ったら同じかそれ以上の性格で観ていてずっと感情を揺さぶられた。 ・レイプシーンからの2人の葛藤がとてつもなく苦しかった。 前に詐欺にあった人が責められるという話をテレビで観て、その話と重なった。 宮本が可哀想に見える時もあれば、靖子の言ったように情けなく見えて複雑な気持ちになった。 もしも、自分が宮本の立場になったら、どうしていただろうと、苦しくなった。 ・宮本が復讐に行くシーンがとても怖かった。 構成上、死なないのはわかっているのにどうなってしまうんだろう?とドキドキした。 外階段史上最高の格闘シーンが観られてとても良かった。 やばい時は金的を狙うようにしようと思った。 原作も未読、ドラマシリーズも見ていなかったが宮本の熱量はくたくたになるくらい感じた。 それに対峙する靖子を演じた蒼井優もここまでエネルギー使った撮影は過去無かったと後日語ってたぐらいだ。 タクマとの対決だけど婚約者がレイプされてるんだから素手の正攻法じゃなく鉄パイプや金属バットを使って半殺しにしてくれよと思ってしまった。 タクマ役一ノ瀬ワタルに対して殺したいくらいの憎悪をいだくのだから彼の芝居も秀逸だったと思う。 希代の名優の池松壮亮と蒼井優の演技を超えた感情のぶつかり合いと圧倒的熱量にくたくたになった。 世知辛い世の中だからこそクソ不器用な宮本は人の心を熱くする。 後日ラジオで蒼井優の夫の山ちゃんがこの作品を一人で映画館に観に行ってその後自分は何やってんだとスマホのゲームのアプリを消したとの話を聞いた。 DVDで観賞する際は気合入れて画面に対峙しよう! ネタバレ! クリックして本文を読む 原作は連載時、飛び飛びで読んでた。 だいたいのあらすじは知ってる。 「もっと楽に生きろよ宮本ぉ... 暑苦しいんだよ」読むたびにそう呟いてた。 新井英樹、好きな作家ではない。 ただ、物語に惹き込む力は物凄い。 さて、今頃の映画化である。 池松壮亮かぁ。 自分のイメージだと市原隼人なんだが.... まぁそれはいい。 余りの熱量にうっかり感動させられてしまったが、ちょっとまてよ、と思い出したので書いてる。 宮本が本当に直情バカだったら、靖子からレイプされたと聞いた瞬間、出刃包丁か金属バットか、とにかく身近な武器になるもの持って走り出してるはずだ。 住所知らない? 顔覚えてない? そんなの、走ってる途中に気がつくはずだ。 そしてとにかく父親の連絡先は知ってるんだから、まず父親のところに怒鳴り込むだろう。 ラグビーの練習時まで待ち、ユニフォームまで着て待ってる???? 宮本が知能犯ならそれでもいい。 ニコニコ笑いながら、タクマが後ろ向いた瞬間バットで殴るとか、ガソリンぶっかけて火を付けるとか、それとも自動車かバイクで引き倒すか.... そうでもしなけりゃ収まらない怒りだろ? 最悪の胸糞の悲劇を描きながら決着の付け方がファンタジー、そこが気に入らない。 マンション非常階段での死闘。 あんな上手い事いくわけない! 両者、あるいはどちらかが地面に落下して死亡、もしくは半身不随とか。 そして宮本が助かったとしても刑務所行き.... それがリアルだ。 そんな救いのない映画誰が観るかよ、自分だってそんなもの観たくないよ。 もちろん映画の嘘はあったったっていい。 だったら事件の発端の彼氏が酔いつぶれてる横で彼女が巨漢男にレイプされるなんて、胸糞な設定描かなきゃいい。 その矛盾が気にならない人には感動作になったかもしれない。 明らかに新井英樹「宮本から君へ」に絶大な影響を受けて描かれたと思われる花沢健吾「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の映画化作品を、気になって昨日見直してみた。 とても納得がいった。 主人公、田西の感情、行動に嘘がない。 そしてこちらには都合のいいカタルシスがない。 だよなぁ... な、苦い苦いオチしかない。 だから感動してしまう。 自分は「ボーイズ... 」の」ほうが断然好きだ。 それだけ。 ネタバレ! クリックして本文を読む 同名コミックを同監督・同キャストでTVドラマに続いて映画化。 TVドラマのその後らしいが、全く難無く話や設定に入っていけたから驚き! 不器用だが熱血な営業マン、宮本浩の奮闘物語。 年上の恋人・靖子との愛が描かれる。 結婚も決め、靖子は妊娠もしている。 それぞれの両親に挨拶を済ませ、友人たちからも祝福。 一見薔薇色のように思えるが…、 原作は新井英樹。 あの衝撃的な愛の形を描いた『愛しのアイリーン』の原作者。 監督は真梨子哲也。 あの脳天ガツン級の衝撃バイオレンス作『ディストラクション・ベイビーズ』の監督。 このタッグで生易しい作品になる訳が無い! 靖子の自宅に招かれ一緒に夕食を取っている所へ、靖子の元カレが乱入。 靖子に暴力を振るう元カレに宮本は、「この女は俺が守る!」と宣言。 ここから、宮本と靖子の試練に次ぐ試練、究極の愛が始まる…。 その元カレと交際宣言を切っ掛けに二人は結ばれる。 貪るように身体を絡め合う。 人前でもキス。 純粋で真っ直ぐ。 それ故、喧嘩も壮絶。 二人とも感情が激しい事に加え、もはや喧嘩ではなく、口論…いや、罵り合い。 それでも深く愛を育む。 そんな時、事件が起きる…。 取り引き先との飲み会で酔い潰れた宮本。 靖子と自宅に送り届けたのは、取り引き先の息子でラグビー選手の拓馬。 好青年かと思いきや、酔い潰れて爆睡している宮本の隣で、突然靖子に襲い掛かる。 靖子は必死に宮本に助けを求めるが、宮本は全く気付かず起きず…。 翌朝起きた宮本は、様子がおかしい靖子から事情を聞き出す。 ショックを受ける宮本。 イイ奴だと思った拓馬が憎い。 宮本以上に憎悪を燃やしたのは靖子。 拓馬も憎いが、宮本の事も憎い。 私の事を守ると言ったあの言葉は何だったのか…? ただの大言壮語だったのか…? こんなダメ男だったとは…。 宮本に口から溢れ出す罵詈雑言を浴びせ掛け、絶縁を言い渡す。 男としての面子を潰された宮本は拓馬に復讐を誓うのだが…、 相手は現役ラグビー選手で体もデカく屈強。 ボコボコに返り討ち。 しかし、それでも諦めない宮本。 靖子の為に、俺自身の為に、絶対に負けられない勝負に再び挑む…! この勝負シーンが、見てて痛々しいほどのバイオレンス。 顔中膨れ上がり、血だらけ、歯も欠け、血ゲロも吐く。 一瞬の隙を付き、宮本も遂に遂に逆襲。 相手のアソコを握り潰す。 宮本の苦しいうめき声、相手の絶叫悲鳴。 アパートの外に面した高所階段での勝負故、ヒヤヒヤハラハラ…。 何度も手に汗握った。 何と言っても本作は、主演二人の大熱演…いや、超熱演! 元々原作の熱烈ファンだったという池松壮亮。 それに応える全身全霊の体現! 食べたご飯を撒き散らし、ボコボコに敗れ、無様に醜態を晒しながらも、熱く突っ走る! キネ旬他主演男優賞は納得。 蒼井優も池松以上に複雑で絶叫シーンが多い難役だったのではなかろうか。 改めて、スゲー女優だと思った。 『彼女がその名を知らない鳥たち』以上の濃密な濡れ場にも挑戦。 大胆なラブシーン、罵倒し合うほど感情をぶつける二人の熱量に、圧巻・圧倒された。 井浦新、佐藤二朗、ピエール瀧ら周りもクセ者揃い。 中でも、拓馬役の元格闘家の一ノ瀬ワタルは嫌いになってしまうほどのインパクト。 役者陣の演技も熱いが、監督の演出も熱い。 ラブシーンもバイオレンスシーンも手抜きナシ。 受け付けない人には一切受け付けない作風だが、ハマった人にはまたまた脳天ガツンと来る。 時系列はバラバラだが、宮本の骨折や靖子の髪型などでそんなに混乱する事は無い。 さらに時系列をバラバラにする事で、宮本と靖子の今と降り掛かった試練により深みを与えている。 それでいて、ラストは思わず感動…。 映像化の企画が上がったのは、2012年との事。 それから6年越しのTVドラマ化、7年越しの映画化…。 一本の作品を作るって、これほどの本気度がいる。 とてもとても『かぐや様は告らせたい』とは同じ国の作品とは思えない。 誰かを愛する事、 誰かを守る事、 不器用ながら懸命にがむしゃらに貫く事、 試練を乗り越え、勝ち取る事…。 それらって、並々ならぬ覚悟がいる。 そうやって勝ち取った宮本と靖子のラストシーンの幸せに、心底満たされた。 また、その直前の宮本の愛の絶叫告白。 何だかこれは、これからも日本映画界に挑む真梨子監督の代弁のように感じた。 お前たちの考えなんてこの際どうでもいい。 俺に任せろ!俺について来い!俺が守ってやる! 宮本から靖子へ。 真梨子監督から日本映画界へ。 レイプされてああ『怒り』てあったな、あれみたいに陰気に転がって収束するのはつまんないなと思ったら、笑うしかない滑稽な仕掛けが挟まれて、でもコミカルに振れず、という妙なバランスで飽きさせず、観賞後は晴れ晴れとした不思議な気持ち。 こんなのあるんだね、面白かった! 『彼女がその名を〜』でもそうでしたが、蒼井優ええ中年女性演じますね。 顔芸も凄いですわ。 あと池松壮亮て強烈に可愛いんだな、てこと再認識というか、ここまでちゃんと確認したのは初めてかも。 露骨だけどやられちゃう。 色々見たけどベストアクトかも。 内容は直球勝負にやられました。 あっぱれ力技。 ディストラクション〜がダメだった人もこれはイケるかもしれない。 自分はその口でした。

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